味がわからないのは、入れ歯の所為(せい)?

「最近、入れ歯の所為ですかねえ?味が解らないのですが。」
という患者さんがいらっしゃいました。

話をお聞きすると、入れ歯をお作りになった時期とその症状を感じ始めた時期がずれているようですので、次のようなチェック項目にお答えいただきました。

口臭が気になる
舌の粘膜が荒れやすい
味覚や臭覚に異常がある
舌がピリピリするなど違和感がある
食べ物が舌にしみる
皮膚にトラブルがある
傷や虫刺されが膿みやすい
爪に白い斑点がある
食欲不振になりやすい
風邪をひきやすい

これは分子整合栄養医学の先生のところで使われている
亜鉛欠乏を調べるチェック項目である。

この中で3項目以上が該当すれば、亜鉛欠乏の可能性が大であるということです。
その患者さんは4項目にチェックがつきました。

亜鉛と言うと、ある人は、なんの金属ですかという方がいらっしゃいますが、亜鉛はヒトの体には欠かすことのできない微量栄養素のひとつで、ミネラルとも呼ばれます。

ある程度まとまった量が必要なミネラルは、カルシウムとかリンだとかですが微量しか必要のないものに亜鉛や鉄、銅、ヨウ素などがあります。

しかしそれらは自分のからだの中では作ることができないので一般には食べ物から採るしかありません。

亜鉛の働きを簡単に言うと粘膜や唾液にとても関係深く、不足すると、傷ついた粘膜の治りが悪くなったり唾液が出づらくなったり、味覚にも影響します。

影響が出るのはお口の中だけでなく皮膚や骨、髪の毛などにもおよび、糖尿病などにも関係してきます。

味がわからないのは入れ歯のせいの方に戻りますが、亜鉛不足で味がわかりづらくなってきたという可能性もあると思います。

しかし、年齢が上がるに従って唾液の出が悪くなる方もいらっしゃいます。
唾液には、食べ物をそれに溶かし味覚細胞に届ける働きがありますから口腔乾燥症という唾液の出の悪い方にも味がわかりづらいという症状は出ますので一概に亜鉛不足とは言えないかもしれません。

また他にご病気があってお薬を飲まれている方にも副作用として唾液の出が悪くなることは、よくあることです。

まずは亜鉛を多く含む食物を採ってみる。

加えて、唾液の出が悪い症状がありお薬を飲まれているのでしたら内科の先生に、その旨をお話してお薬の変更についてご相談されるのが良いと思います。

亜鉛を多く含む食品をご紹介しておきます。

亜鉛は肉や乳製品などの動物性タンパク質と、とても相性が良いです。
具体的にあげると

牡蠣(生)
豚肉(レバー)
牛肉

チーズ
松の実
たたみいわし
抹茶(粉)
煮干
たらこ

などです。
加工食品や、玄米ではなく白米、全粒粉ではなく白い小麦粉などの精製された穀類は、亜鉛を含む割合が低いので、
これらを、よく食べる方は亜鉛が不足すると言われています。
また、動物性タンパク質と相性がいいと言いましたように
菜食主義者の方や、そうではなくても、あまりお肉が好きではなくて食べないという方も不足しがちになりますのでご注意下さい。

最後に
亜鉛不足が、入れ歯の痛みにつながることもある
というお話をしたいと思います。

亜鉛不足がお口の中の乾燥の直接の原因にもなるという報告もあります。
前出の、傷ついた粘膜の治りが悪くなるというお話と合わせて考えてみましょう。

唾液はお口の中の潤滑油の働きもします。
その潤滑油が不足していれば、入れ歯が擦れて歯ぐきが痛くなるのは、容易に想像がつきます。
そもそも、入れ歯というものは歯ぐきの上を、すこしだけ滑るように動きながら機能するものです。

滑りが悪く傷がついて炎症が起き、ましてや治りづらいとくれば、どんなに良く出来た入れ歯でも、痛みが出てしまうでしょう。

入れ歯の痛みがあるときには、まず調整をさせてもらうと同時に唾液のチェックを必ずしております。

お口の中の乾燥があるときには亜鉛の補充も考えてみましょう。

食品だけで補いきれないときはサプリメントでの補充も
決して悪いことではないと思います。

是非、ご相談ください。

栃木県内でコンフォート入れ歯治療をお考えなら
佐野入れ歯専門外来 Dent.入れ歯クリニック
院長 飯田和雄

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