合わない入れ歯の弊害

合わない入れ歯を、我慢して使い続けていませんか?
私は、入れ歯は義足と似ていると思う事があります。
合わない義足を使い続けたら色々なところに弊害が出るのは容易に想像がつきます。
今回は合わない入れ歯の弊害をお話しようと思います。

まずは痛みです。

長いこと我慢されていて痛みをあまり感じなくなっている方でも、いつも食べているものではないちょっと変わったものを食べた途端痛くなってしまうことがあります。
入れ歯と歯茎の間にゆとりが有り過ぎる状態、いわゆる、ゆるいという状態の時起こります。

次によく噛めなくて胃を悪くすることがあります。

元来、主に歯は食べ物を細かく砕いて唾液と混ぜ合わせ消化を助ける働きがあります。
入れ歯は天然歯の代わりですから同じ働きをしないといけません。

意識されている方は少ないのですが、入れ歯のピンクの歯茎の上にのっている白い歯・人工歯はプラスチックのようなものなのですり減り形が変わるのです。
形が変わると噛み合わせも変わりますので噛みづらくなります。

先日も患者様にいらっしゃいました。
最近良く噛めないので食べるのが億劫になり、食欲が減り体重が10㎏も落ちてしまったということでした。
その方は88歳とご高齢でしたので、ご家族の方が心配して付き添って来院されました。
ご高齢になりますと、食べることは生きることに直結してきますので油断は禁物です。

よく頭痛・肩こりと噛み合わせについてのご質問がありますが、噛み合わせや入れ歯を直せばそれらが全て治ります、というはなしを聞くことがありますが、眉唾ものだと思います。

頭痛・肩こりは様々な要因が重なり起こることが普通です。
ですので、悪い噛み合わせ=頭痛・肩こりではないからです。

しかし悪い噛み合わせが頭痛肩こりを引き起こすことはありますので、合わない入れ歯を疑ってみるのも良いことです。
合わない入れ歯のアンバランスをからだが補正しようとして、首・肩周辺の筋肉に負担がかかり、凝りとして現れてしまいます。

合わない入れ歯は歯茎に強い負担がかかります。

局所的に強い負担がかかりますので、その歯茎の下の歯槽骨と呼ばれる、入れ歯がのるいわゆる土手の骨が吸収して減ってしまいます。
歯茎の下の骨が減り、無くなってしまうと、入れ歯がのる部分が平らになってしまうわけですから安定感がなくなり、どんどん合わない入れ歯となっていってしまいます。

合わない入れ歯にも合わない場所、原因によりその弊害も変わってきます。

入れ歯の高さに不備が生じた場合は、お口の周りのシワやホウレイ線が目立ってきてしまうことがあります。

シワやホウレイ線は加齢に加え、前歯の前後左右、上下の位置関係が適切でない時も表情がなんとなく不自然に見えたり、老けて見えてしまうこともよくあることです。
鏡をみて表情のチェックの習慣をつけてみてください。

また高さに不備が生じると食事をしている最中に噛むことに疲れてしまって食事の後半が辛いこともあります。
ひどくなると、顎関節症に移行してしまい、お口が開かなくなるなんてことにもなりますので、注意が必要です。

その他に合わない入れ歯で多いのが、話し方、発音が不自然な方がいらっしゃいます。

目安としてサ、シ、ヒ、タ、ラ、カなどの音がきちんと出ていないと周りの人々とのコミュニケーションに支障がでてきます。
特に電話の会話では、相手の表情が見えない分、音のみが頼りになりますので発音に雑音がはいると、とても聞き辛く不便が生じます。

また特に部分入れ歯が合わないときに起こることですが、
お口の中の食べ物の流れが悪く、一ヵ所に停滞してしまったりし易くなると残っている歯に虫歯や歯周病が起きやすくなります。

また合わない入れ歯は、食事中のお口の中での入れ歯の動きが大きくなりますので、その分バネがかかっている歯にも大きな負担がかかり、その歯がグラグラしてくることがありますので
緩すぎる入れ歯は調整・修理が必要です。

以上のように合わない入れ歯は様々な弊害が出てきます。

まだいいかな?とか、

もう少し我慢してみようかな?

などとお思いにならずに早めの歯科医へのご相談をお勧めいたします。
ご参考になれば幸いです。

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