今回はバネの無い入れ歯についてお話しようと思います。
バネの無い入れ歯は歯科業界では“ノンクラスプデチャー”と呼ばれています。
従来の入れ歯と何が違うかといいますと、一言で言いますと、金属の銀色のバネ(クラスプ、留め金)が正面、横方向から見た時に見えない部分入れ歯です。
見えないというのは隠れているわけではなく、従来の金属のバネが無く、床と呼ばれるピンクの部分と同じものにバネが置き換わり歯と歯茎の境目あたりで入れ歯を支えるような仕組みになりました。
このノンクラスプデンチャーは1種類ではなくいろいろな種類があるのです。
もし、あなたが、歯科医院を訪れ、ノンクラスプデンチャーを選択したとすると、何も聞かれずにあるノンクラスプデンチャーが用意されると思います。
当院では数種類用意しており、その特徴をお話しして選んで頂いておりますが、一般には歯科医師の価値観で選んで提供するというかたちがとられていると思います。
これほど普及する以前は、選ぶにもほんの数種類しかありませんでしたので、私が選んで提供させて頂いていました。
ですが現在は十数種類のノンクラスプデンチャーがあり特徴も様々ですので、ご説明して選んでいただいております。
簡単にその種類をご紹介しましょう。
種類というのはノンクラスプデンチャーの形や仕組みが違うというのではありません。
素材とメーカーに種類があるということです。
【素材主成分】
ナイロン系ポリアミド樹脂系、
ポリエステル樹脂、
ポリカーボネイト樹脂、
アクリル樹脂
などです。
先に書いたものほど柔らかく、後に描いたものほど硬い素材になります。
この順番を憶えておいてください。
これらは、代表的な主成分で、メーカーにより違う素材を添加したり、組み合わせる素材の割合を変えたりした製品が十数種有ります。
メーカーの良い製品を提供しようとする努力が表れています。
しかし一人勝ちするほどの完璧と言える樹脂(メーカーが最終的に作り上げた素材)はまだ存在しておらず、適応症例、患者さんの好み、長所、短所などを理解した上での選択に委ねているのが現状です。
では、あなたが、部分入れ歯をノンクラスプデンチャーで作る時の手助けとなる選択基準をお話しようと思います。
•耐久性に優れているかどうか?
•修理ができるか
•咀嚼し易いかどうか?
•樹脂(ピンクの部分)に自然観があるかどうか?
大きくて分けると上記の点をチェック、理解されて選ばれたら良いと思います。
実は1~3は樹脂の性質に密接に関係していて、性質上、裏腹になることがあります。
例えば、ナイロン系・ポリアミド系は柔らかく、素材に粘りがあるのでポキッと折れることは殆どありません。
しかし柔らかいので経年変化として少し伸びる様な感があります。
また、修理は専門の技工所に出しますので一定の期間その入れ歯を預けないといけません。
つまり、その期間は入れ歯がない状態で過ごさなくてはいけませんので、ご不自由な時が発生してしまいます。
その点では、先ほど素材主成分のところで、お書きした順番が後者に行くほど歯科医院でその場で修理ができますので入れ歯を預けなくても済みます。
そこが、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂の長所でもあります。
しかし、クラスプと呼ばれる部分が破損した場合はナイロン系と同じ修理になります。
また修理には、壊れたということに対して行われるものと、部分入れ歯自体が緩くなったことに対して行われものがあります。
緩くなったものを直すのも前者はお預かり、後者はその場で可能ということになります。
•2に関してまとめますと、
壊れにくいのだけれども、
壊れると一定期間(1週間位)入れ歯を預けて修理しなければいけない種類か、
壊れる可能性がやや高いのだけれども、
その場で直る、預けなくて済む種類かということになります。
次に3の咀嚼し易いかどうか?ですが、これも重要です。
ナイロン系・ポリアミド系は柔らかいとお話しましたが、これが、問題となってきます。
前歯が欠損してしまって、それを補うための部分入れ歯でしたら、さして問題はないのですが、しっかり噛んでいかないといけない奥歯、臼歯の部分入れ歯の場合は強く噛むとやや入れ歯が滑るような、逃げるような感じがして、少し広がる傾向があります。
特に咬合力の強い男性が感じることが多いかもしれません。
後者はそういう心配は殆どありません。
商品名や、このノンクラスプデンチャーは柔らか系なのかどうか?
修理のときはどうなるのか?
食べ心地はどうなのか?
など詳しいお話は歯科医院で説明して頂けると思います、是非聞いて見てください。
お役に立てば幸いです。
(上記のコメントはあくまでも私の見解です)
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