この質問をよく受けます。
お気持ちもよく分かります、私もそうだからです。
実は、この種の質問をされる方は食べることに困ってはいない方々なのです。
もし困っていたなら、聞かずに「入れ歯作りたいのですが。」と言っていますよね。
お口の中で何歯か抜けているところが有り、そこに食べ物が逃げてしまって、若干気になるがあまり問題はない、という場合でしょう。
私も実はそうなんですよ。左下奥2歯がないのですが全然困りません。
でも、ちょっと気になる時があるのです。
それは、肩が凝る時です。
歯が抜けていることの弊害①
身体の筋力のバランスが崩れる
特に奥歯が抜けているときです。
身体というものは、左右均等にバランスがとれています。
両方の歯が均等に噛んではじめて身体の筋肉の力加減のバランスも取れるのです。
ヒトは、噛み締めた側に力が入りますので、そちら側に傾いてしまいます。
身体はよくできていますので、それでも倒れません。
バランスを取るために、その反対側の歯のない方におおきな力(筋の緊張)を無意識にかけてバランスをとります。
これが肩こりにつながっていきます。
一時的な肩こりならいいですが、長年それを続けていると
おおきな身体の不調和に繋がらないとも言い切れません。
歯は、奥歯まで左右均等に噛んでいた方がいいのです。
全体にバランス良くということですね。
これが、 ”木を見て森を見ず”のことわざの森の部分です。
今度は、”木”の部分の話です。
歯が抜けていることの弊害②
噛合せが崩れる
奥歯では、歯が抜けている部分の両脇の歯、特に奥側の歯が前に倒れてきてしまいます。
一歯倒れて動いてくると、それに接触していた歯も動き始める場合があります。
そうすると噛合せがどんどん狂っていき、気が付くと食べづらくなっていたり、からだの力のバランスが崩れ、思わぬ体調不良を招きかねないのです。
もう一つ、主に奥歯で起こることですが、上の歯、または下の歯どちらか一方が無くなるとその反対の歯が、
上の歯ですと下の歯ぐきまで落ちてくる、
下の歯ですと上に向かって、上の歯ぐきまで浮き出てきてしまう
ということが起きてきます。
その出てきてしまった歯が周りの歯に当たりますと、顎関節症という口が開かなくなってしまう病気になったりしますので注意が必要です。
この顎関節症にならなかったとしても、歯がどんどん浮き出て反対側の歯ぐきに付いてしまうぐらいになると、そこには浮き出る前の空間が無くなってしまっています。
その時はあまり困りません。
しかしその周囲の歯もやがて弱くなったり悪くなったりして、治療が必要になったとき、そこに空間がないので、そのままでは歯を入れることができず、やむなく、その浮き出ている歯を半分に切断するという事態になってしまいます。
そうならないためにも、
歯の無いところを放置しない
浮き出そうな歯がある場合は、浮き出そうな歯とその隣の歯を被せものか、しっかりとした詰め物でくっつけてしまう、つまり連結してしまう。
そうすることで、連結した歯が噛み合わさっていれば、浮き出そうな歯はその歯とくっついているわけですから浮き出ては行かなくなります。
ちょっと分かりづらいですね。
抜けていることの弊害③
見栄えが悪くなる
主に前歯の話です。
しかし外見にこだわらないお忙しい人を除いて放置する人は少ないようです。
浮き出るとか、倒れるとか、噛合せが変わるといった症状は人によって起こるスピードには個人差がありますが、長い年月放置しておくと可能性は当然高くなります。
歯は、ひとが歳を経れば、悪くなって抜ける危険度はもちろん上がります。
悪くなることは避けられない場合があります。
しかし、大切なのは、一歯悪くなったらその後どうするかです。
ひとつひとつしっかりフォローして治していかれる方は
概して、健康でお元気なような気がします。
歯は無い所がないように、ダメになってしまった歯があるのなら、そこは決して放置せず、入れ歯、ブリッジ、インプラントなど、何らかの方法で補いましょう。
ことわざの本来の意味からはずれますが、一本一本の木も、森全体のバランスも両方大切ということでしょうか!
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