今回は過去に作った入れ歯が気に入っていたが、割れてしまったT様の治療エピソードです。
T様は70代後半ですが、現役でお仕事をされています。
ご来院された際、以下の症状にお悩みでした。
- 見た目、機能的に優れた入れ歯が欲しい
- 以前使用していたものが使いやすかったが、割れてしまったので同じような入れ歯が欲しい
- 口元がへこんで老けて見えるのでふっくらさせたい
お口の状態は年齢とともに変化します
T様のように、前回作った入れ歯が気に入っていたが壊れてしまったので同じものが作りたい。と希望される方はよくいらっしゃいます。
しかし、その入れ歯を作られた時のお口の状態と、現在のお口の状態は加齢や生活環境によって変わるものです。
その時は良くても10年たったら同じとは限られません。
その為、改めてお口の状態を確認させていただきます。
元通っていた歯医者は閉院してしまった
気に入っていた入れ歯は割れてしまったため、その前に作った入れ歯で生活していました。
前回作ってもらった歯医者さんは閉院してしまったため、入れ歯専門の歯医者を探していたそうです。
現在入れている入れ歯は合わなく、緩く下の入れ歯が浮いたり、上の入れ歯が落ちたりするそうです。
噛んでも上が動いて外れやすいため、不安定な状態でした。
また、人前でお話しすることもあるので発音や歌が歌えるよう、機能性にもこだわっていました。
入れ歯の安定を妨げる原因は・・・
T様の歯茎には重度のフラビーガムがありました。
これが入れ歯の安定を損なう原因になっています。
特に、この症状は前歯に現れていました。
前歯のフラビーガムは、奥歯でしっかりと噛むことができていないことが原因です。
前歯でばかり食事をしていると前歯の骨がだんだんと減っていきます。
骨が減った歯茎は、イカのように骨が無い状態です。
本来であれば歯茎の下に骨があるので、ある程度安定します。
T様のような状態ですと、歯茎が厚くその下に骨がないので入れ歯が安定しません。
フラビーガムを患っている患者様の治療方法
T様は加齢が原因で唾液の分泌量が減少していました。
フラビーガムと唾液の減少が重なると、安定しない痛みの出る入れ歯が作られてしまいます。
これらの症状とT様のお悩みを解決するために、以下に気を付けて入れ歯を作りました。
- フラビーガム用に考慮した入れ歯を作ること
- 唾液の代わりになるゼリー状のクリームを使うこと
- 割れないよう、上下金属床の入れ歯にする
元々は入れ歯が割れてしまったことがきっかけだったので、今度は壊れないよう強度の出る金属床を採用しています。
金属床の入れ歯は、強度だけでなく食事をした時に熱を感じやすく、薄いので違和感が少ないといったメリットがあります。
満足していただけるまで試適をくりかえします
T様は見た目の仕上がりにこだわっておられましたので納得できるまで試適を行いました。
自分好みの口元のふくらみ。
歌を歌う時にギリギリまで開け、発音がしやすいように絶妙なバランスで調整しました。