■奥歯がしっかり噛んでない状態は、お口の中の環境やお体全体としてどれだけ悪いかをお話します。
■奥歯の状態
・虫歯になってしまって歯の形が崩壊している
・取れてしまった冠をそのままにしている
・奥歯が歯周病でグラグラで噛めない
・奥歯を抜けたまま放置している
上記はいずれも部分的に歯は接触していなくて、噛めない状態です。
仕事が忙しくて、、、歯医者が嫌いで、、、他の場所でなんとか食べられているから、、、色々ご事情はあると思います。頭では「歯医者行かなければなー」「治さなければなー」とわかってはいても、なかなか重い腰は上がりません。今はさほど影響がなく、やり過ごせたとしても、この状態を放置すると必ずそのツケは払わないといけません。歯の自然治癒力は本当に初期の虫歯や歯肉炎にしかありませんので。
■本当に怖い “放置“
1、虫歯や冠が取れたのを放置した場合
上下の歯を全部噛んだ時、上下の歯が噛み合っていない、つまり上下の歯に隙間が空いている状態のところは、接触するまで上の歯、下の歯どちらかが、もしくは両方が出てきてしまいます。正常に生えていた平らな歯並びの噛む面から、ぴょこんと頭を出すようなイメージを持って頂くのが良いかもしれません。
治療法
飛び出した量にもよりますが、少なければそのまま低くなった方を被せたりするなどして治療すれば良いですが、量が多ければ飛び出した歯の神経を除去して短くして被せるという治療になります。
2、奥歯を抜けたままにしている場合(これが1番危険❌)
①反対の歯が伸びる
前述と同じようにやはり歯が出てきます。伸びてくるという表現は成長するように感じてしまうのですが、歯自体が長くなるわけではありません。上顎でしたら落ちてくる、下顎でしたら浮いてくる感じでしょうか。
お口の中では歯が伸びてくるように見えますので、ここでは「伸びる」という表現を使わせていただきます。
最悪なのが、この状態を何年も放置することです。徐々に徐々に歯は伸び続け、やがて反対側の歯ぐきに到達することさえあります。
これがなぜ最悪かと言いますと、いざ、その伸びた歯のところにインプラントもしくは入れ歯を入れて食べられるようにしたいとご希望が出た時に、歯を作るスペースがそこには無くなってしまうからです。
治療法
伸びた歯に麻酔をして神経を除去し、伸びてしまう前の長さまで削り、冠を被せます。
さらに悪いことが起きる場合があります。
歯が伸びるだけなら歯を処置をすれば済みますが、歯の周りの骨ごと隆起、落ちてくる場合があります。骨が落ちるというのは、骨が本当に成長し大きくなるということです。
治療法
この場合は、多くは歯を抜きそれでも上下間に歯が入る隙間が不足していれば、歯茎を開いて骨を削るという小手術が必要です。
②歯が倒れる
歯を抜けたまま放置した場所の後ろに歯が残っている場合は、その歯は前方に向かって傾き倒れてしまいます。まっすぐ立ったまま並行移動して歯が無い場所を埋めてくれれば良いのですが、残念ですがそうはならないのです。
治療法
歯は倒れたまま、空いているところにインプラントや入れ歯を入れていくか、倒れた歯を抜いて同様に治していくかです。
日々の健康、認知症にも関連する恐ろしさ
こんなデータがあります。入院されている方が、同じ栄養の食事を、ミキサーで細かく砕いて流動食で摂るのと砕かないで自分の歯で噛んで食べるのとを比べると、足腰の回復具合は噛んで食べるほうが遥かにしっかりするのです。また有名な話ですが、奥歯で噛む刺激が日々認知症予防にもなるというデータもあります。どちらも経験がなくとも、なんとなく想像がつきますね。
結論
奥歯で噛むことは本当に大切です。野生動物なら歯がダメになってしまったら、即、死です。人間は治療することができますので、虫歯や歯が抜けたところは即座に治療を開始しましょう。
すでに抜けたまま放置してしまっている方、少しでも早く歯科医院に行って下さい、貴方のためです。