「入れ歯のバネがきつくて外すのに大変なのですが、じきに慣れますか?」
「だんだん緩くなるので初めはきついほうが良いと言われたのですが、こんなにきつくて大丈夫なんですか?」
このようなご質問を受けたことがあります。
また、患者さん自身にも、初めはきついほうが良い、どうせ緩くなるから、と思ってらっしゃる方もいます。
確かにバネ、特に鉢金のようなバネはゆるくなることが多いかもしれません。
しかし、結論から申しますと、きつ過ぎるバネは歯を痛めます。
入れ歯を外す時にかかる力は相当なものです。
それを一日何回も繰り返しては、歯の気持ちになれば、たまったものではありません。
きつ過ぎるバネは、それがかかっている歯の寿命を縮めてしまいますので、我慢はしないようにして下さいね。
やはり初めから緩すぎず、きつすぎないちょうどいいきつさがいいと思います。
緩くなったらまた少しきつくする調整をすればいいのですから。
「入れ歯だと分からなくすることはできますか?」
特に前歯の話だと思いますが、とてもレベルの高い質問です。
こういう入れ歯の注文は技工士の血が騒ぎます。
私は歯科技工士の免許も持っていますのでこういう注文は大好きです。
歯科技工士免許を取る学校の他に、もう一つ歯科技工学校を卒業しています。
そこでは、他人が見た時に、如何に自然に見せるか!作り物と思わせないかをとことん追求してきました。
天然歯そっくりに再現するトレーニングや歯並びに、いかに個性を出すかなど、そんなことばっかりやってきました。
それがです、若い頃の話ですが、その学校を卒業したての頃の最初の患者さんの話ですが、勇んで、その方に合いそうな個性的な歯並びに仕上げました。
これなら誰も作り物の歯なんて思われずに、自分の歯だと思ってくれるのに違いない! と。
ところが、患者さんの希望と私の思惑は見事にすれ違ってしまいました。
患者さんのご希望は、自分のもともとの歯並びはガタガタでとても悪く、それがイヤだった。
だから、せっかく歯を作るのだから、キレイな歯並びにしたいというものでした。
ご希望は、人それぞれであるということを思い知りました。
机の上の学問と現実の世界とのギャップを最初に感じた時でした。
現在は、ご自身の歯が有った頃のお写真を持って来て頂いて、それを参考に、どのような歯並びにするかをご相談しながら、教訓を基に、ご希望を第一に、作らせて頂いております。
「入れ歯が茶色くなってしまいました。
作り直さないとダメですか?」
入れ歯に色がつくというのは個人差があります。
よく口にするものをお聞きすると、
色がつく方は
コーヒー、紅茶、麦茶、烏龍茶、タバコなどがお好きなようです。
中には、水分はコーヒーかアルコールしか飲まないという方もいらっしゃいました。
コーヒーではタンニンという色素やタバコはヤニが原因です。ヤニにはタバコの中のタールが含まれますので、その臭いも入れ歯に染み付きますので、口臭の原因になります。
テレビの宣伝ではないですが、洗浄剤の中にはこの臭いも除去する効果がありますので試されてみてはいかがですか。
まずは、歯ブラシで丁寧に擦ってみてください。
ザラザラした研磨剤入りの歯磨き粉で磨くと細かな傷がついて余計、色が着くようになりますからお避け下さい。
また、たまに刃物のような硬いもので削り取ろうとする方がいらっしゃいました。
舌の触りが悪くなりますので、厳禁です。
ご自身でやってみてダメなら歯科医院にお持ちください。
ものによっては、あっという間にキレイになってしまいます。
作り直さなくても大丈夫なことがほとんどです。
大切なのは毎日のお手入れです。
一回で色が着いてしまうということはないので、毎日やさしく擦ってください。
溜めないことがコツです。
入れ歯(義歯)の専門医をお探しなら栃木県の歯医者
佐野入れ歯専門外来 Dent.入れ歯クリニック
院長 飯田和雄